「ソファのクッション性」

「ソファのクッション性」

シートの高さ(SH)とシートの奥行き(SD)の関係性について、一般的にはSHが低ければSDは深めとする必要があります。

その反対に、SHが高ければSDは浅めとすることにより座り心地のバランスが取れてきます。

仮にまったく同じスペックとなる座クッションであっても、SHが低ければ軟らかく感じられますし、その反対にSHが高ければ硬く感じられます。

また座面のサイズとも関係し、その面積が大きければ軟らかく感じられますし、反対に小さければ硬く感じられます。

つまり、同じモデルであっても三人掛けと二人掛けの座り心地は多少なりとも違うことが一般的です。

単品にて使用される場合は特別問題になることはないものの、例えば三人掛けと二人掛けの2台を同じ場所に設置されるような場合は、各々の座り心地に違いが感じられることは好ましいことではありません。

このように同スペックにて製造しても均一な座り心地とならないことがソファの難しさとも言えるのです。

また根本的なこととして、座り心地とはとても主観的なものゆえ、仮に同じソファに腰掛けても軟らかく感じられる人もいれば硬く感じられる人もいます。

更には体調により感じ方が違う場合もありますので、日々使用するソファにおいて均一性を持たせることが如何に難しいことかと言うことです。

それゆえ例えば通販にて購入することには最も不向きな製品とも言えるでしょうし、典型的な体感製品ゆえにリアル店舗も必要になるのでしょう。

以上のようにソファはとても難しい家具に位置付けられるものの、必ずしも絶対的に正確な情報を入手できる環境にもないため、いろいろな視点にて実際試され、またいろいろな説明も受けたうえで判断されることをお勧めします。

「脚部の付け位置」

ソファの脚部については過去に何度か記してきました。

 

脚部も全体における立派なデザインのひとつの要素となりますので、これについては決して軽視できない部分になります。

 

いわゆる脚無しデザインについても何度か記しましたが、その存在をあえて消すことによりひとつのデザイン性が生まれることも事実です。

 

一方では、ソファ下の湿気やそれによる衛生面の観点より、少なくとも日本においてはお勧めできる仕様ではないことも事実です。

 

その反対にスリムで長い脚部を強調すべく、ソファ四隅の角部分に張り出すくらいに取り付ける仕様もあり、室内では靴を履く習慣がない日本においては同様にあまりお勧めできるものではありません。

 

その細さゆえ金物製となることが多く、それに足の小指をヒットさせることの結果は容易に想像できるものと思われます。

 

痛いだけで済めば良いのですが、これに躓き転倒することにより大きな事故に繋がるケースも決して稀ではないことも承知しています。

 

ソファは一般的に室内に設置されるものゆえ、安全性の観点も含めてデザイン性に活かす必要があるのです。

 

そのまた反対に、デザイン性の観点より脚部をあえて内側に取り付ける場合もあるのですが、その場合はソファ自体の安定性の観点も必要になります。

 

自重が相応にありサイズも大きければ問題にはならないケースもあるものの、例えば小振りな一人掛けやオットマンになると一気に安定性を欠くことになりますので、その上に乗り転倒するような事故に繋がる可能性も否定できません。

 

このような安全性の観点をクリアすることはもちろんのこととして、脚部自体のデザインやその付け位置については総合的なデザイン性に大きく影響する部分ゆえ足元にも意識を向けながら選定されることが望ましいものです。

「プロの意見」

各種分野には必ずその道の真のプロが存在します。

 

一方では、プロっぽく見えても真の意味でのプロとは言えない方も少なくないものとも思われます。

 

一般的には肩書にて判断するものと思われ、その資格を管轄しているところが国の機関の場合は確実性が高いと考えて間違いないかもしれません。

 

仕事柄比較的身近なところとしては例えば一級建築士があり、それは国土交通大臣より免許を受ける国家資格になります。

 

人間の命を守る建築物ゆえそのような免許制度があることは当然のことでしょうし、真似事であっても素人がその設計を出来るものとは誰も考えないでしょう。

 

医師や看護師もそうですし、多少なりの評判はあったとしても高度な専門知識を有していなければ真似事も出来ないプロ中のプロの仕事だと思われます。

 

国家資格ではなくても各種資格が存在しますし、その難易度の違いは相当幅あると思われますが、いずれにおいても専門的な知識を学び試験に合格する必要があります。

 

一方では明確な資格制度がない分野も相当数ありますので、有資格者ではないことがプロではないとも言えないものです。

 

それでは各々の分野にプロが存在する意味について考えてみると、その分野では素人ゆえにプロの意見を参考にすることがあると思われます。

 

その意図や真意も探ると各種検索だけでは判断できないことは多くありますので、その点においてプロとしての率直な意見に頼りたくなります。

 

その中でも最も信憑性が高いものとして、「プロのあなたが選定するとすればどれにしますか?」等の質問に対する回答があるものと考えており、それが本当に正解だったのか都度現場に出向き検証する必要性もあるだろうと考えています。

「現物が持つ力」

「写真で見るよりも現物の方がはるかに良かった」もしくは「写真を見たところ期待していたが現物はそうでもなかった」のように写真と現物は少なからずギャップがあるものです。

本来高級なものであればあるほど相応にコストも掛けて写真の撮り方も工夫されるものですし、その価値を正しく伝えるべくカメラマンともその価値観を共有する必要があると思われます。

しかしながら意図通りにいかないことが難しい点であり、良くも悪くも結果は違うことも経験しています。

例えば、仮に写真としてはとても恰好良くイメージ通りに撮れていたとしても、必ずしも現物の質感や重厚感まで正確に伝わるものでもありません。

ゆえに伝えたいことに重点を置き何カットも撮影することになると思われ、それらすべてを総体的に見ながらまた読み込むことにより現物の印象も概ね把握できるのかもしれません。

画像だけで伝えることが出来ればそれに越したことはないのですが、どうしてもそれだけでは伝え切れないことが多いもので、それゆえ画像と共に文字にて補足することが一般的です。

そのような情報より総体的に判断することになるため、受け手の捉え方により印象も若干違ってくることは仕方ないことだと言えるでしょう。

場合によってはそれが良い点とも言えるかもしれず、その効果をあえて狙う手法も少なくないようです。

その点現物は良くも悪くもストレートにすべてを表現することになりますので、少なくとも写真の印象を下回ることがないようにすることが大事になります。

高級品においては、「写真で見るよりもはるかに良かった」と感じさせるような製品をつくり出すことが最も大事なことになりますので、それに自信があれば現物を見せる機会をつくり出すことも大切なことなのでしょう。

「アンティーク家具」

アンティーク家具には明確な定義があるものでもなく、一般的には100年以上経過していることがひとつの指標になるようです。

同時に、大量生産されていないものが対象になるようで、歴史や伝統が受け継がれた由緒あるデザイン性やその質が求められているようです。

それゆえ英国家具の少しばかりデコラティブな家具の印象も先行するのですが、その様式も本当の意味での成熟期は1920年代以降かもしれません。

その背景としては機械化があるもので、すべてを手作業にて行っていた当時と比較すると更に複雑で均一性に優れた家具が生み出されたものと思われます。

そうなると、100年経過していないものも少なくないと思われますが、イギリスにおいてはその頃に作られたものも立派なアンティーク家具として扱っている様子からも、厳密な時間の経過ではなくやはりデザインの質やその再現性及び完成度を重要視していることが感じられます。

何よりも、100年程度経過しても相応に綺麗な状態で残り続けていることに価値があるもので、当然のこととして無垢材にてしっかりと作られていたことが背景にあることは間違いありません。

一方ソファにおいてはどうでしょうか。

いわゆる消耗部材が多いことからも一般的な張りぐるみタイプソファがアンティークとして残ることは難しいことが現実でしょう。

従って椅子や長椅子と言った露出したフレームは無垢材で作られたタイプが残っていることが現実でしょうし、それらにおいてもどちらかと言えば少々デコラティブな印象も先行します。

いわゆるそれがアンティークっぽさなのかもしれませんが、未来のアンティークのひとつとしてオーセンティシティソファやボード類が受け継がれていくことに期待しています。