ここでは具体的な固有名詞を出すことは控えますが、依然は徹底した対面販売において高価格帯の家具を多く販売していた家具店が存在しました。
当時在籍していたソファメーカーではデザイン業務に限らず営業の補佐的なことも行っていましたので上記本社に赴くことも少なくなく、また週末においては一部に許されたメーカー販売要員として何度か売り場に立って接客も行っていたことを思い出します。
当時はそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いにて急成長していましたし、家具メーカーとすれば高額品でも相応の販売実績を作ってもらえる会社との取引には積極的だったことからも、それゆえの双方の関係性は容易に想像できるものと思われます。
少しばかり乱暴な表現になりますが、「売ってやってるんだから…」との基本姿勢となることからもメーカーサイドの立場はとても弱く、時には無理な難題を突き付けられたこともあります。
ビジネスゆえ納入価格面の交渉は当たり前のことかもしれませんが、デザインにおいて取引が出来ないイタリア有名メーカー製品の模倣もほのめかされたこともあります。
そのような状況からも個人的にはその会社名を聞くだけでも抵抗がありましたし、そのような環境から抜け出すべく真剣に転職を考え実際動いていたことも記憶に新しいものです。
ところが、自社開発の安価な製品群にて勢力を拡大してきた会社とは対抗することも出来ず、実質的に姿を消すことになったことは複雑な気持ちです。
率直なところ当時は好きではなかったのですが、その家具店にて購入したことをステイタスに感じるような対応を行っていたことは事実ですので、そのこと自体は悪いことではなかったのかもしれません。
今後同様な手法にて一世を風靡するような家具店を構築することは難しいかもしれませんが、ブランド力に限らず本物の家具を手に入れることに喜びや満足感を与えることが可能な家具専門店の存在は必要だろうと感じています。