「継承」

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おそらくですが、ソファと言えばいわゆる応接セットと呼ばれた時代より張地にてすべての表面が覆われた張りぐるみタイプの方が一般的だと思われます。

それも以前はボディ部分が張り込みと言われる仕様で、劣化等によりその部分の表皮材を交換するためには工場に戻して作業する必要がありました。

そのタイミングにて内部ウレタン等の一部中材交換を行うことも一般的で、それにより新品同等に綺麗な状態に戻るものの、それに掛かる費用は新品価格同等と言っても過言ではないことからも、そのデザイン性には相応にこだわりを持っていることが条件になるものと思われます。

もしくはそのデザイン性を継承する必要がある空間に設置されているものと思われ、似て非なるものを新たに製造するのではなく古いものを修理しながら使い続けてきた背景があるのでしょう。

この精神はとても大事なことだとも思われ、単にモノを大切に使うとの意識面だけではなく文化を継承する意味において「古きよきもの」との感覚は大切にしたいとも考えます。

一方では、これにとらわれ過ぎることも如何なものか…とも思われ、どこかにそのテイストを残しつつも今の時代にマッチしたものを新たに創り出す精神もまた必要なのだろうとも思います。

そのようなマインドは短期間ですがイタリアで学んだ際に実感として身につけた感覚もあり、自身の感性を磨くためにもとても重要な期間だったことは間違いありません。

そのタイミングとしても、若すぎることもなく悪い意味でいろいろと凝り固まってしまう年齢でもなく、丁度良いタイミングだったとつくづく思います。

もちろんイタリア文化がすべてではないものの、ソファ先進国と言っても間違いはないと思われる体験をいろいろと積み重ねてきましたので、その歴史とマインドは良い意味で受け継いでいければと思っています。

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