ソファを評価するうえで重要なことはいろいろあるのですが、それにより製品自体の価値を大きく左右するものに縫製があるだろうと考えています。
ソファは人の手が多く入り込むことなくして完成しない、最も手作り感が強くなる家具の代表格とも言えます。
それゆえ、表現方法に語弊があるかもしれませんが生産国により仕上がり感の違いを顕著に感じることになります。
仮に日本製との表記であったとしても、特に縫製工場においては純粋に日本人の手によるものとも限りませんので、その場合においても何となくその部分が見えてくるところが縫製なのだろうとも感じています。
先ずはパーツ型に沿って裁断されるのですが、張地により収縮率等がすべて違うことからもその特性に合わせた裁断型を用いて人間の手により一枚一枚丁寧に裁断することが好ましく、続いてそれらパーツ別に全周ロックミシンを施すことは最低限必要になります。
生地の織り方によっては、それを施さなければ織り糸が抜け出てしまいやがては地縫いまで影響を及ぼすことになりかねないからですが、意外とすべてのメーカーがこれを行っているものではありません。
この事前作業を終えたところでようやく地縫い(本縫い)作業に移るのですが、この精度は最終的な仕上がり感(フィット感)に大きく影響を及ぼします。
最終的にシングルステッチやダブルステッチ等を施すことになり、これは地縫い部の強度面を高めるばかりではなく意匠性においても大事な一翼を担うことになります。
それだけにその精度や綺麗さは絶対的に求められますし、更にそれには人間の感性が入り込むことで完成します。
漠然とした表現になるのですが、実はこれが最も大事なエッセンスとなりますので、工芸文化が根付いている地域で生まれ育った職人たちがこれに携わることの意味合いはとても大きく、オーセンティシティソファはそのベースのうえで成り立っています。