どのような業界においても、各々の分野には各々のスペシャリストが存在することにより、結果としてとても素晴らしいものが出来上がるのだと思われます。
その業界の成熟度によりその質も違ってくるのだろうと思われますが、少なくとも先ずはそれらスペシャリストのことを尊重する必要があるのでしょう。
それらを統括する立場の人間には特にその意識が必要になるのでしょうし、そのことが思いのほか難しいことであることも充分理解しているつもりです。
人を信じて任せることほど難しいことはないでしょうし、自分自身が少しばかりその分野の知識を有していれば尚更のことでしょう。
デザイナーの立場としては、そのようなことを充分理解したうえでプロ意識を持って取り組む必要があるのだろうと考えており、それが良い意味での抑制になるのだろうとも考えています。
常に言い続けていますが、デザイナーはアーティストではないからであり、個人の感性を押し付けることは避けるべきです。
使命はより多くの方々に普通に接していただけるものを創り出すことであり、そのことにより少しでも生活が豊かに感じられるとすればとても嬉しいことです。
そのことは企業としての生産性にも繋がり、結果として景気全体にも影響を及ぼすことになればそれに越したことはありません。
しかしながら家具業界に目を向けるとそればかりではなく、工業製品だと割り切って大量生産することには少なからず抵抗感があるものと思われます。
手作りだとか工芸だとか、少なからずそのような要素が入り込んでいるものが家具である以上、そのことも大事にし続ける必要があります。
安価な製品一式をとりあえず保有することが豊かさに繋がるものではないことを、今一度考える機会を生み出すような製品創りが必要になるのかもしれません。