デザイナーはアーティストではないとの基本姿勢は、どのようなことがあっても、いつになっても変わることはありません。
それだけに「作品」との表現には少しばかり違和感を覚えることになるのですが、総合的な判断としてそのように表現されるのであればそれも間違っていないのだろうとの気持ちもあります。
デザインの意味を考えた際に、やはり多くの方々にそれが使用されることが目的であり、できることならば一切の違和を感じることなく気持ちよく使ってもらえることを願っています。
そのためにも、先ずはフォルムとして綺麗でなければいけませんし、幅広く受け入られるためにはいろいろな意味で難解なものではいけないのだろうと考えています。
デザインについての専門知識を有してなくても、誰もが綺麗だと感じるものはバランスが整ったものだと思われ、そのようなものは自然と心地良さももたらします。
一方では、多くの「もの」は単なる飾り物ではないため、実際使用して満足できるものでなければいけません。
それに充分な機能性が備わっているのか否かにより、総合的な満足度はかなり違ってくるでしょうし、ものによってはその使用頻度にも大きな違いが生じるのかもしれません。
デザイナーの喜びは多くの方々にそれを心地よく使っていただくことだと考えていますので、家具の場合は様々なライフスタイルを実際見て感じる必要があるのでしょう。
机上からは生まれない実質的なデザインということであり、綺麗であることはもちろんのこととして、様々なライフスタイルに欠かすことが出来ないような位置付けになるものを常に生み出す意識で取り組み続けたいと考えています。