別注対応等において、デザインが崩れることを理由にそれを快く受け入れないデザイナーの方が一般的かもしれません。
デザインの基本はバランスであることからも、そのような気持ちも理解出来ないものではないものの、許容範囲内であればご希望を叶えることを優先させたいとの考え方です。
一方では、仮に許容範囲外との判断に至った場合はその理由も含めて丁寧に説明のうえ理解いただくことを心掛けています。
そのすべては実際それを使用される方のことを第一に考えてのことであり、それがデザイナーの仕事だろうとの基本姿勢が背景にあります。
家具においては特にですが、プロのデザイナー不在・もしくは結果としてそれに近い状況が長く続いてきたものと考えており、それだけにデザインの成熟度は決して高くないと考えています。
作れば売れた良き(?)時代を経験してきたこともあり、デザインに対する意識が充分に育まれなかったのかもしれません。
そのことは今現在においても色濃く残っており、とてもプロのデザイナーが関わったものと思われない製品が普通に流通しています。
特に安価な製品に多く見られるだけにそのコストも抑える必要があるのかもしれませんが、そのようなものが今でも多く残る業界は他に見当たりません。
日本を代表するようなデザイン先進企業が世に送り出す製品には、多少の好き嫌いはあっても格好悪いものは存在しないもので、性能面では大きな差別化を図ることが難しい業界だけにデザイン性にて勝負することになっているものと思われます。
それらを選定する我々の選択基準の中でもデザイン性が大きな比重を占めるようになっており、家具においてもそのような視点が当たり前になるように、しっかりとプロのデザイナーの仕事に取り組みたいとの気持ちです。